24.【過去編】オシャレ帽子さん④

お互いの自己紹介も終わり、お昼ご飯も食べ終わって。

「今日って時間ある?」

オシャレ帽子さんがそう誘ってくれました。

「今日は一日休みなので時間あります」

「じゃあさ、カラオケでも行かない?」

一瞬、いきなり密室か、と不安が過ぎりましたが、私は頷きました。

彼氏、もとい婚約者ができるかもしれないチャンス。

この先二度と訪れるかわかりません。

なので絶対に逃したくない!

 

お互いにお会計を済ませてから近くのカラオケに向かいます。

平日だったので、待ち時間無く部屋に入れました。

カラオケに来ているというのに歌わずに、2人で喋ります。

2人きりの薄暗い密室空間で、変な感じです。

カラオケにはこういう使い方もあるんだな、とその時初めて学びました。

 

「オシャレ帽子さんって良い匂いしますね」

「香水付けてるからね」

「煙草吸うんですか?」

「何で?」

「煙草吸ってる人って、香水付けてる人多いから……」

「嫌い?」

「あんまり」

「吸わないから安心して」

 

オシャレ帽子さんの手が私の手に伸びます。

その時、つんとした煙草特有の臭いがした気がしました。

でも、会って2回目の人と手を繋ぐことになるなんて思ってもみなかった私はそれどころではありません。

恥ずかしさで頭の中が爆発してしまいそうでした。

でもその当時「大学生にもなってまともに男性とお付き合いしたことがありません!」なんてことは言えない変なプライドがあったのでなすがままにされていました。

そんなこと、絶対オシャレ帽子さんには気付かれていた気がします。

一曲も歌うことなく、手を繋いだままずっとお喋りして。

その日は、時間切れの電話がかかってきて、次に会う約束をしてそこでお別れしました。

 

手ぇ繋いだわー。

絶対私に気があるわー。

きっと付き合えるわー。

このまま結婚までいっちゃう?

次の約束もしたし絶対いけるでしょ?

 

私は浮かれまくっていました。

次の約束は来週居酒屋で。

その日は珍しく早く仕事が終わるとのことで、8時に待ち合わせです。

私の脳内は真っピンクでオシャレ帽子さんのことでいっぱいでした。

恋愛経験値が少ないと、手を繋いで次のデートの約束をしただけでそんなかわいそうな状態になるのです。

 

約束の日まで毎日メールもしつつ、時々電話もかかってくるようになりました。

仕事が忙しいらしく、10分や20分くらいしか話す時間はありませんでしたが、それでも声が聞けるだけで私は幸せでした。

元々「電話」というコミュニケーションが苦手だったので、そのくらいの時間がちょうど苦痛を感じないというのもあったのでしょう。

その日あったことだとか、お仕事のことだとか。

まだバイトくらいしか社会経験のない私には、仕事の話は「大人」な気がして、キラキラと輝いて見えていました。

 

そしてあっという間に1週間は過ぎ。

約束の日になりました。

ウキウキでいつもより念入りにオシャレをします。

滅多に巻かない髪も巻いたりしていました。

自分でも本当に恥ずかしいくらい浮かれていたと思います。

 

待ち合わせの居酒屋に着くと、オシャレ帽子さんはまたもや中で待っているようでした。

「先に来て待ってくれているなんて優しいな」と心をときめかせながらオシャレ帽子さんの元へ向かうのでした。

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21.【過去編】オシャレ帽子さん①
22.【過去編】オシャレ帽子さん②
23.【過去編】オシャレ帽子さん③
24.【過去編】オシャレ帽子さん④
25.【過去編】オシャレ帽子さん⑤
26.【過去編】オシャレ帽子さん⑥