25.【過去編】オシャレ帽子さん⑤


オシャレ帽子さんと出会うと、早速二人でビールを頼んで乾杯しました。

おススメのおつまみを選んでくれて、「大人だなぁ」と大感激です。

大学生のワイワイした飲み会しか経験したことのない私にとって、2人でしっとりと飲むお酒は未知の世界でした。

2杯、3杯と進み、盛り上がります。

お酒に、というより、雰囲気に酔っていたのかもしれません。

こんなに「女性」として扱われたのは初めてで、本当に幸せでした。

 

婚活パーティーで出会った人だし、このまま付き合えたら結婚するのかなぁ。

一生結婚できないと思ってたけど結婚できるかもしれないなぁ。

お酒でぼーっとする頭でそんなことを考えていました。

 

「婚活ブタちゃん」

オシャレ帽子さんの声色が突然変わります。

本能的に「来た」と思いました。

「付き合おうか」

「よろしくお願いします」

即答しました。

まだ会うのは2回目だし、お互いのことをあまり知りません。

今思えば、なんてバカな真似をしたのだろうと思います。

でも、その時も私は焦っていました。

「こんなデブス好きになってくれる人なんていない」「私は一生独りのままだ」

そんなことをずっとずっと考えていたのです。

だから、このチャンスに飛びつかないわけがありません。

だって上手くいけば彼氏ができて、このまま結婚できるかもしれないのですから。

 

そしてその後2人は夜の繁華街に消え――たりはしませんでした。

やっぱり私はビビりでどこか人間不信気味なブタです。

べろんべろんな千鳥足で1人帰宅するのでした。

 

オシャレ帽子さんと付き合い始め、私たちは順調にデートを重ねました。

お仕事が忙しいらしく、デートはもっぱら昼間か夜遅いかのどちらかです。

カラオケに行ったり、映画を見たり、満喫に行ったり、観光名所に行ってみたり。

それはそれは楽しく、今までにないくらい満ち足りた日々でした。

 

その日のデートもいつもと変わらずとても楽しいものでした。

でも、いつもと違う点が1つだけありました。

いつもは電話がかかってきたら、すぐ電話を取るオシャレ帽子さんですが、その日は出なかったのです。

「出ればいいのに。どうしたの?」

「妹だからいいの」

「急ぎかもしれなかったのに」

「婚活ブタちゃんとの時間の方が大事だから」

そんなことを言われてしまえば私にはもう何も言えません。

その後もいつも通り楽しくデートを続けました。

 

そして家に帰った後。

デートの余韻に浸りながらごろごろしていると、スマホが鳴りました。

遅い時間であったと記憶しています。

知らない番号です。

ビビりな私は知らない番号には出ないと決めていたので、その着信を無視しました。

でも、2回3回と続けて同じ番号から着信が続きます。

さすがに怖くなって、私は勇気を振り絞って電話に出ました。

『何ですぐに出ないのよ!』

その瞬間。

鼓膜に響く女の人の甲高い叫び声が響き渡りました。

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21.【過去編】オシャレ帽子さん①
22.【過去編】オシャレ帽子さん②
23.【過去編】オシャレ帽子さん③
24.【過去編】オシャレ帽子さん④
25.【過去編】オシャレ帽子さん⑤
26.【過去編】オシャレ帽子さん⑥