209.【過去編】BBQ合コンの話④

火起こし体験を挟み、いよいよBBQ開始です。

「肉を寄越せ!」と私は真っ先に肉に向かいました。

――というわけにはいきませんでした。

そのBBQには変なルールがありました。

女性は座ってタレやお皿やお箸、飲み物は男性が持ってくる、というルールだったのです。

そう、目の前に肉こそあれど、男性の動きがなければ女性は肉も食べられなければ飲み物も飲めません。

まさかトングでそのまま食べるわけにはいきませんから。

主催者側はなんてハードなルールを設けてくれたんだと思います。

 

私は待ちました。

誰かが持ってきてくれるのを。

他の参加者は続々肉にありつけているのを横目に見ながら待ちました。

でも中々私のところにはタレの入ったお皿もお箸も飲み物もやって来ません。

ブスは所詮そんなものです。

「帰りたい」

そう強く願いながら惨めな思いでいると、スタッフの助け舟がありました。

私と同じく相手を見付けられずうろうろしていた男性を連れて来てくれたのです。

これでやっと肉が食べられます。

 

「ありがとうございます」

「いえ」

「……」

「……」

「……」

「……今日はお一人ですか?」

「はい」

「……」

「……」

「……」

「……お肉美味しいですね」

「そうですね」

そんなとても気まずい思いをしながら私たちもBBQに参加しました。

食べるセットを持ってきてくれた人と上手く会話ができなかったからといって、同じ火を囲む人と和気あいあいとも喋ることができません。

他の人たちは何となく盛り上がってきているのに。

私の対人スキルと容姿でこんなリア充なイベントに参加するのなんて無理があったのです。

周りを見渡せば、私と同じくこの空気に全く馴染めていなさそうな人も数名いました。

「私だけじゃなかった」と妙な安堵感を覚え、もう私はその場に馴染むことを諦めてただひたすらにお肉を食べました。

 

しばらくすると、スタッフから「場所を移動してもいいですよ」と指示が出ます。

場の雰囲気に馴染んだ風な人たちは男性も女性も一斉に移動を始めました。

どうやら自分の気になる異性の近くに移動を始めたようです。

一気に広がるリア充な空間。

それに耐え切れず、私も場所を移動することにしました。

目立たず、地味に落ち着ける空間を探して。

 

そう考えていたのは私だけではなかったのでしょう。

一角だけ、異様に盛り上がっていない場所がありました。

盛り上がってはいませんでしたが、私には天国に見えました。

「すみません、ここいいですか?」

「あ、はい」

そして盛り上がることなく無難にぼそぼそと会話をします。

時々スタッフが盛り上げに来ますが、それでも盛り上がりません。

私も含め「この人たち何のために参加しているんだろう」状態です。

そしてBBQの肉も尽き、やっとこの地獄が終わると思いました。

 

「お腹もいっぱいになりましたし、川の方にでも遊びに行きましょうか!」

スタッフさんがそんなことを言い出すまでは。

BBQが終わっても受難は続くようです。

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