102.祖父が持ってきたお見合い話
この苦しい婚活に喘いでいた頃。
唐突に同居している祖父が「そういえばお前にお見合い話があってなぁ」と言いました。
祖父には(というか家族親族友人には誰にも)婚活していることは話していなかったのでドキッとしてしまいました。
「えー」と乗り気でない風を装いましたが、内心では小躍りしていました。
もしかしたら、この婚活地獄が終わるかもしれないのです。
親族の紹介なので、上手くいかなかった時に大変そうですが、それでも構いません。
この地獄が終わるなら何だっていいんです。
「じいちゃんの友達のお孫さんなんだけど、家が旅館で板前さんやっててな。良い年なんだけど内気だから嫁が来なくて寂しいらしい」
まさかの板前さんです。
しかも家が旅館って相当ハードル高いです。
「年齢的にも丁度いいし、お前着物好きだろ? だからどうって言われたんだよ」
「いや、年齢はわかるけど着物と何が関係あるの?」
「旅館の息子に嫁いだら女将さんになるんだから当然だろ」
この時点で無理かもしれないと思いました。
確かに着物は好きで、簡単な着付けぐらいなら自分でできますが、それと旅館の女将になるのは全く別問題です。
時々ドキュメンタリーで人気旅館の女将に密着している番組を見ますが、とても私に務まる職業とは思えません。
「会うだけでもって頼まれたんだけどな」
どう返事しよう。
会うだけなら会ってもいいかもしれない。
もしかしたらとても良い人で、無理なんてどうってことないくらい好きになってしまう可能性もゼロではありません。
ほぼゼロに近いことには間違いありませんが。
「でもお前掃除嫌いだから断っておいた」
「勝手に断るなよ」
ちょっと悩んで乗り気だったのに、何と既に祖父に断られた後でした。
どうして断ったお見合い話をわざわざ私に伝えてきたのかは謎です。
「でもお前毎日掃除なんかできないだろ?」
「仕事なんだからするかもしれないじゃん」
「いや、絶対にしない」
確かに私は掃除が嫌いだし不得手ですが、ここまで言い切られるのは心外です。
「女の部屋とは思えない」とよく言われますが、そんなに不潔で物が溢れているわけではありません。
祖父に言い付けられた時はちゃんと家の掃除もしています。
(自主的にはしません)
ということで、以上「祖父が持ってきたお見合い話」改め「祖父が握り潰したお見合い話」でした。
一回ぐらいお見合いしてみたかったなという気持ちは今でもあります。
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